今夜、色のない君と。
そう考えたとき、やっぱり花夜にとって一番身近な大人に相談しようと思った。
一番身近な大人は、秋野さんしかいない。
「話すのは、明日。だから、花夜は今夜だけ空き家にいて、我慢しててくれる?」
本当は今すぐにでも暖かい部屋とベッドを用意したいけど。
でも花夜はなんだか納得いかないという顔をしている。
「明日秋野さんに話したとして、今の状況が変わるのかな。もし信じてくれなかったら?もし私の行くところがなかったら…?」
「花夜。大丈夫だよ。秋野さんは、困っている人を見て放っておくほど冷淡な人じゃない」
「でも私は人じゃない」
花夜の言いたい事はわかる。
人じゃない花夜を、秋野さんはどこまで受け入れてくれるのか、どこまで信じてくれるのか、
話したとしても今のこの状況が変わらなければ意味がない。
もしかしたら秋野さんが誰かに花夜のことを話してしまうかもしれない。
そうなったら花夜も不安だろう。
きっと好奇の目に晒されることになる。