今夜、色のない君と。
花夜と一緒に空き家を出て、文聖堂の扉の前に立つ。
「じゃあ花夜、開けるよ」
僕がそう言うと、花夜は静かに頷いた。
僕が見ても、花夜が緊張しているのが伝わってくる。
───チリンチリン
扉を開けたら、いつものように視界に秋野さんの姿はない。
業務部屋だ。
「秋野さーん。緒都です」
───ガチャ
「ああ、緒都くん、いらっしゃ……」
出てきた秋野さんは、業務部屋の扉に手をかけたままフリーズしている。
ちょっとたってから我にかえったよにハッとして、業務部屋の扉を閉め、レジのところに立った。
「……そちらのお嬢さんは?」