今夜、色のない君と。



「はい…。じゃあ、今から全てお話します」



それから僕は、今までに起こったこと全てを秋野さんに話した。



秋野さんは終始無言で、真剣に聞いてくれたけど、信じてくれたかどうかは、表情からは読み取れなかった。



「つまり、花夜ちゃんはあの絵の中から出てきた人物で、行くところがなくて困っている……そういう事だね?」


「「はい」」



僕と花夜は同時に頷いた。


秋野さんは力が抜けたように椅子の背もたれにもたれかかって、何かを考え込んでいるのか、


顎を触りながら黙っていた。



少しすると、秋野さんは僕たちに向き直った。



「……まあ、信じるかどうかは別として、これで僕の疑問が1つ解決した」


「……疑問?」


「ずっと気になっていたんだよ。どうしてあの絵の中から女のコが消えたのか」



…当然ながら、やっぱり秋野さんも気づいていたらしい。



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