今夜、色のない君と。
「花夜ちゃん。君は人間に見えるけど、やっぱり見た目の違和感があるね。その右腕はどうしたんだい?」
「あ、これは……雨に、濡れてしまって…」
「ごめんね。ちょっと触るよ」
秋野さんは花夜の右腕をまじまじ見たり触ったりして、また新たに疑問が増えたという顔をしている。
「これは…完全に紙の質だね」
そしてまた、顎を触りながら秋野さんは黙り込んだ。
しばらくすると、真剣な眼差しで花夜を見つめた。
「君が絵の中にいた人物だっていえる証拠はそれなりにそろってる。君の見た目と、それからその腕」
「…信じてもらえるんですか?」
僕は秋野さんに言った。