今夜、色のない君と。


すると秋野さんは、さっきまでの緊迫した雰囲気はどこへいったのか、


いつものように柔らかい雰囲気に戻った。



「僕は以前、今のような出来事が描かれている小説を読んだことがあるんだよ。条件は花夜ちゃんと全く同じでね」



え……僕達とまったく同じ出来事が描かれている小説?


そんな偶然あるのか…?



「まあその小説の中では、絵の中から出てきた人物は男のコだったんだけどね。花夜ちゃんの右腕みたいに水に濡れて紙みたいにふやけるシーンもあれば、男のコが出てきた絵から一定以上離れると体に異変が起きるとかね」



…まったく同じだ。



秋野さんは椅子から立ち上がり、小説のコーナーに向かった。


僕と花夜も秋野さんを追いかける。



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