今夜、色のない君と。



「それで、秋野さんは新幹線……って乗り物でどこに行ってたんですか?」



花夜が秋野さんに聞いた。



「京都っていうところだよ。僕の友人がそこにいてね。ちょっと会いに行ってたんだ」


「京都………そこは、遠いんですか?」


「そうだねー、新幹線で行くぐらいだから遠いねぇ」


「そっかぁ」



あからさまにがっかりする花夜。


……行きたかったのかな。



「…花夜、行きたかった?」


「え?……あ、うん。行きたい……けど、無理なのもちゃんとわかってるよ。向かいの空き家に行っただけで調子が悪かったのに、京都ってとこに行くのはもっと無理でしょ?」


「…そうだね」


「ま、行けないこともないんだけどね」


「「え?」」



すると突然、秋野さんが小説を片手に持ちながらサラッとそんなことを言ってきた。



行けないこともないって……どういうこと…?



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