今夜、色のない君と。
秋野さんに花夜のことを話した日から、花夜は夜もここの文聖堂で過ごしている。
秋野さんが快く許可してくれて。
そしたらこの有様だ。
秋野さんが乙女と化してる。
「それであの……秋野さん、話って…?」
「ああ、そうそう」
僕はここに来る前、電話で秋野さんから話があると言われていた。
「あの小説……ここではガイドブックと呼ぼうか。それはもう読み終わった?」
「はい。今日返そうと思って持ってきたんですけど…」