今夜、色のない君と。



「40年前ぐらいに人から貰ったものなんだけどね。誰から貰ったのか……」



やっぱり秋野さんが描いたものじゃなかったのか。



秋野さんは「歳はいやだねぇ」と笑いながら本の整理を続けている。



「…ほんとにあの絵を描いた人、覚えてませんか?」


「んー……あの絵をくれた人を思い出すことはなんとかできるかもしれないけど、その人が描いたものかはわからないからね」



……たしかに。


あの絵の元々の持ち主は、どうして秋野さんにあれを渡したんだろう。



何か特別な理由でもあったんだろうか。



……とまぁ探偵っぽく考えてみたり。



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