今夜、色のない君と。
「藤永 緒都(ふじなが おと)!!」
───ビクッ
「お前、授業中にボーッとするっつうことはもう完璧ってことだな。よしわかった。ここの問題解いてみろ」
グラウンドを見ていたのがそんなに気に食わなかったのか、
数学のメタボ教師がドヤ顔で黒板に書かれた問題を指さした。
「………」
「…なんだ、わかんないのか。そうだろうな。数学には目も向けない文系のお前が、こんな問題分かるはずないよな」
……こんのクソ教師。
1年の頃から国語にしか力を入れてなかった僕はいつも数学の点数は最悪で、
赤点を上回ったことなんかほとんど記憶にない。
だからこんなにも数学の教師から毛嫌いされているのだ。