今夜、色のない君と。
「…あの絵、気に入ったの?緒都くん」
「え…いや、まあ…」
…気に入った…のか?あの不思議な絵を…?
なんかちょっと…ちがう。
「…なんか、惹かれる部分が…あるんです」
「惹かれる部分?」
秋野さんは仕事をする手を止めて、まったく意味がわからないとでもいうように僕を見た。
「不思議な感じがしませんか?あの絵」
「いや特には…」
「…あの絵の中の女のコ……なんか気になる」
僕がそう言うと、秋野さんは目をぱちくりさせて驚きを隠せないようだった。