今夜、色のない君と。


「恋かどうかは、僕よりも緒都くんの方がわかるはずでしょ」


「…僕、恋したことないんですよね」


「はははっ。うん、だろうね」



だろうねって…。



「僕が言ったのは、緒都くんの気持ちは緒都くんしか分からないんじゃないのってこと」



その僕の気持ちっていうのはどういう気持ちなのかが分からないんだけれども。


たしかに気持ちはそこにあるのに。



どういうわけか手が届かない。



「ちなみに聞くけどさ、例の小説のヒロインの名前、なんていうの?」



名前?


なんでそんなこと気になるんだろう。



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