今夜、色のない君と。



あまりにも暇そうにしてたから、どうせ断るだろうと思いながら光世にそう提案した。



すると光世はムクっと起き上がって



「行く」


「行くのかよ」



本屋なんて興味ないと思っていたのに、光世は目をキラキラさせながら今度は楽しそうに鼻歌を歌っている。



「俺、緒都が行ってる本屋行くの初めてだわ」


「…たしかにな」


「なんてとこ?」


「文聖堂」



今まで光世がそれとなく文聖堂に行きたいってことを僕に言ってきたけど、


冗談だと思って受け流してきたんだった。



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