今夜、色のない君と。
音で返事するんじゃねぇよ。
ああ、もう。なんで秋野さんの店でこそこそするかな。
この店になんかしたらマジで許さない。
「誰かいるなら、出てきてください」
今度はなんの返事もない。
余計にイライラする。
───チッ
「はやく出て来いよ」
自分でもビックリするくらい低い声が出た。
待っても向こうからはなんの反応もないので、
僕は力づくでも捕まえようと思い、足を進めようとしたそのとき、
「ま、まって……待ってください!」