今夜、色のない君と。
憧れていた世界
「……大丈夫…じゃない」
「……?」
訳が分からないという顔をしている女のコ。
いや、訳が分からないのは僕の方だよ。
誰もいないと思った店の中に人がいて、その人自体に色がなかったんだから。
「……君は一体誰?」
「えっと……名前は、わからなくて」
「………」
ていうかまず、本当に人間?
色がない人間なんて聞いたこともなければ見たこともない。
だから僕は女のコをよくよく観察した。