今夜、色のない君と。
───…ドキッ
……いや、ドキッて……。
そんなの、あるはずないじゃん。
うっかり信じそうになっちゃったけど…。
「絵の中からって……そんなおとぎ話みたいなことあるわけない」
「…いや、でも…本当に私は……」
「大体さ、自分の体の色を全部灰色にするって、どういうつもりですか?」
「だから…これはっ……!」
「僕のことからかってるんなら、もう帰ってください。二度と来んな」
もし、目の前の女のコが嘘をついているんだとしたら、
とんだ手の込んだ詐欺師だ。