今夜、色のない君と。
慌ててあの絵に近づく。
それでもやっぱり……。
眼鏡のレンズを拭いても、目を擦っても、ほっぺたをつねっても…。
そこにあるのは、背景を鉛筆で塗りつぶされた絵……というより、ただの紙だった。
昨日まで描かれていたはずの女のコが、消えていた。
消しゴムで消したとかそういうんじゃない。
そのまま、消えていたんだ。
まるで、抜き取られたみたいに。
「あ……これですこれ。私がいた絵はこれです」
そう言って指を指した女のコ。
そのコの顔と服装は、昨日まで絵に描かれてたはずの女のコそのもので…。