今夜、色のない君と。


「…君、どこから来たの……?」



さっきした質問をもう一度繰り返す。



すると女のコはにっこり笑って



「私は、この絵の中から抜け出して来たんです。
緒都くんのことは知ってました。毎日ここで本を買ってましたよね」



…もう、受け入れるしかない。



現実的に有り得なくても、これが現実なんだ。




だから体の色も鉛筆の色で。


間違いない。



このコは、絵の中のあのコだ───。



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