今夜、色のない君と。
大きな目をぱちくりさせて不思議そうにこっちを見る女のコ。
「……えっと、君、名前はあるの?」
とっさに頭に浮かんだ疑問を投げかけてみる。
「……いいえ。私に名前はありません」
…そりゃそうだ。
絵の作品名とかならあるかもしれないけど、絵の中の人物にまで名前をつける画家はそんなにいないと思うし。
「…名前がないのって、寂しいですよね。お前はいらないって言われてるみたいで」
「いや、もともとは絵の中の人だったんだから…。名前がないのは当然なんじゃない?」
「…はい」