今夜、色のない君と。



***



「緒都。帰ろうぜ」


「うん」



放課後、光世が僕の席にやってきたので、僕はスクールバッグを持って席を立った。



昇降口に行く途中、光世はいろんな女子と挨拶を交わしていたが、


僕は誰にも話しかけられず、もちろん話しかけず、空気のように昇降口まで歩いてきただけだ。



……光世のように社交性があれば、僕も少しは友達が多くできたのだろうか。



そんなことを考えながらローファーを履き、正門を出た。



学校の最寄駅に着き、目当ての電車が来たのでそれに乗り込んだ。



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