今夜、色のない君と。
光世は携帯いじってるし、特にやることもないのでスクールバッグから本を取り出し、読みかけの推理小説を読み始めることにした。
「……また小説?」
光世は携帯の画面から目を離し、呆れるような顔でこちらを見ている。
「いいじゃんべつに。光世携帯やってるし」
「まあ好きなことをやるのはいいことなんだと思うけど。……お前さ、彼女欲しいとかって思ったりしねぇの?」
「ああ……べつに」
学校の人たちを見てると、色々大変そうだし。
それに僕に彼女がいるところなんて想像もつかない。