今夜、色のない君と。
自由に、堂々と。
***
「花夜、もうそろそろお店閉めないと」
あれから約1時間。
花夜が気になるものや知りたいことなど、一通り教え終わったあと、
なんとなく時計を見ると8時ちょっと前だった。
もうお店を閉める時間だ。
「そっか。秋野さんに頼まれてたんでしたっけ」
「うん。だから今日はもうこれで終わり」
僕がそう言うと、花夜はさっきまで見ていた植物の本をそっと本棚にしまった。
「はい。今日はありがとうございました。色々知れて楽しかったです」
花夜は律儀にしっかりと腰から90度まげてお辞儀をした。
頭をあげたあとの花夜の顔は、さっきの笑顔とは裏腹にどこか寂しそうで。