今夜、色のない君と。


「……ご冗談でしょ?」


「ご冗談じゃないよ」



花夜はそう言って、目の前の空き家の扉を開けて、中に入っていった。


いやいやちょっと。



空き家は空き家でも売地だったら不法侵入になるんじゃ…。



僕はあわてて花夜の後を追った。



───ギギィ



扉を開けると、軋んだ音が響いて、すごく不気味だ。



「…花夜?いる?」



先に入っていった花夜を探そうと辺りを見回す。



……本当に空き家だ。


所々床に穴が空いていたり、蜘蛛の巣がはってあったり。



お化け屋敷かと思うほど、暗くて不気味で埃っぽかった。



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