今夜、色のない君と。
この空き家入ってみて改めて思ったけど、隙間風は入るし絶対ネズミとかゴキブリとかその他虫とかがいっぱいいるし、
電気もないし、何より寂しい。
こんなところに花夜を置いときたくないんだけど。
「花夜、やっぱり僕の家来なよ。部屋なら一つ余ってるし、全く使わないから母さんたちが気づく可能性もない」
「大丈夫。ここにいる」
「でも、花夜……」
「行けないの」
花夜は僕の視線から逃れるように顔をそむけた。
空き家の窓からもれる月明かりが、花夜の顔をてらす。
そのときの花夜は、なんとも言えない表情をしていて。