先生と17歳のあいだ




「大丈夫だよ。俺が一番にゴールテープを切ってきてやるから」



〝教員リレーで最初にゴールテープを切った先生のクラスは、次のリレーでも一番でゴールする〟


ふと、和谷先輩が教えてくれたことが頭に浮かんだ。




「……もしかしてリレーのジンクスを知ってたんですか?」


「当たり前だろ」


……なにそれ。今朝聞いた時はとぼけていたくせに。




「的井さん。あっちでバトン渡しの練習しよう」


と、その時。城田さんが私のことを呼びにきた。



「う、うん」と返事をすると、先生は安心したように歩き出す。遠ざかっていく背中を視線で追いながら、私はひき止めるように声を出していた。




「……先生、約束ですよ!」



ジンクスなんて信じてはいない。

むしろ、ジンクスなんて緊張感を誘発するだけ。


でも、先生が一番で帰ってきたら。先生が一番にゴールテープを切ってくれたら私は……。




「おう。任せとけ」


先生が太陽よりも眩しい顔でニカッと笑った。


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