先生と17歳のあいだ
それからグラウンドの隅で私たちはバトンの受け渡しを何回も繰り返した。
リレーの選抜メンバーは私を含めて六人。男女混合で走る距離はひとり100メートル。グラウンドの一周が200メートルなので、早く三周したチームが勝ちとなる。
滑走順はもちろん話し合いではなく、郁巳先生が個人的に決めたもの。
一応、足が速い人たちが前半を走り、他のクラスとの距離を広げる作戦だけど、その中でも不安要素とされているのは、もちろん5番手の城田さんとアンカーの私。
走ることに自信がない私たちがなぜリレーの選抜になり、しかも重要な滑走順を任せられているのか。そんな疑問は本人が一番よく理解している。
けれど、先生はあえて一番向いていない私たちを大役に選んだ。
得意な人が得意なリレーを走ってもつまらない。
失敗を恐れずに全力でやるということ。
それが、きっと先生が言っていた〝青春をしろ〟ということなのだろう。
「15種目目の競技リレーを開始します。参加される先生方は入場門に整列してください」
そんなアナウンスがグラウンドに響き渡った。