先生と17歳のあいだ
入場とともにスピーカーから流れるカルメン組曲。アップテンポのメロディーと同調するようにして生徒たちも盛り上がっていた。
教員リレーは四チームで行われて計16名と教師たちが出場することになっている。
アンカーはもちろん陸上部の顧問や体育の先生といった足に自信がある人たちが集まっていた。
赤色のTシャツを着た先生はグラウンドではよく目立つ。
他の生徒がなんで赤なのって尋ねたら『俺は赤組だから』って答えていた。そういうユーモアがあるところが、郁巳先生らしいなと思う。
生徒たちの声援を横目に、私と城田さんは次のリレーのために入場門の近くで観覧することにした。
ちょうど目の前がスタートライン。と、いうことはゴールもこの場所だからアンカーが戻ってくる様子が全部見える。
「あーどうしよう。すでに手が震えてきちゃった」
城田さんは自分の出番のことで精いっぱいで教員リレーを応援する余裕はないようだった。
「では、一番手の人は準備してください」
補佐の誘導で、教員たちがスタートラインを立つ。そして、生徒会役員の人がスターターピストルを空へと上げた。
「位置について、よーい、どんっ!!」
パンッと、乾いた音と同時に全員が走りだす。