先生と17歳のあいだ
「わー!!」と、熱気を帯びる応援の生徒たち。
この日のためにコンディションを整えてきた人もいれば運動不足の人もいて、競争というよりエンターテイメントとしてみんなが楽しんでいた。
バトン渡しに失敗したり、失速したりして、順位は次々と入れ替わる。二番手にバトンが渡ったところで、早くもゴールテープの準備がされていた。
たったの2周で勝負がついてしまう教員リレーは目まぐるしくて、私は見逃さないように郁巳先生のことばかりを見ていた。
そして、三番手が走り出すと、アンカーの人たちが白線へと並びはじめる。
……なんだか自分のことみたいに緊張してくる。
でも、私は分かる。
先生は約束を破らない。
いや、守れない約束なんて、はじめからしない。
先生にバトンが渡った。隣の陸上部の顧問の先生とほぼ同時で、応援合戦はさらに激しいものになっていく。
「ヤバい。超接戦だね……!」
城田さんがふたりの走りを不安そうに見ていた。
「大丈夫だよ」
「……え?」
「大丈夫」
赤色のTシャツが猛スピードでトラックを走ってくる。