先生と17歳のあいだ
「位置について、よーい」
一番手の人が姿勢を低くする。それぞれのクラスの人が前を見据えた瞬間に……パンッ!!とスタートのピストルが鳴った。
「二組頑張れー!!」
「いけー!走れー!」
グラウンドに地鳴りのような声援が降ってくる。
二年一組のクラスメイトたちを見ると全員が前に出てきていて、声を張り上げていた。
一番手の人が終わり、バトンが二番手に引き継がれる。
コースをはみ出すようにして三角コーンが勢いよく飛んだり、選手交代が上手くいかずに衝突してる人もいた。
赤いハチマキのクラスメイトが速い順番で走ってくる。
……ドクン、ドクン、ドクン。
心臓はうるさい。でも何故か心は落ち着いてる。
先生に押された背中がじわりじわりと熱かった。
前に並んでいた四番手の人がコースに立つ。次々とバトンが渡し終わって、アンカーである私も白線の上で準備した。
四番手の人は二位で城田さんにバトンを渡した。距離を稼いでくれたおかげで後ろの人とは距離がある。
「菜穂、頑張れ……!!」
城田さんの友達も懸命に応援していた。
城田さんと後ろの選手が並ぶ。一位の青組がバトンを渡し終わった直後に城田さんがやってきた。
「城田さん、あと少し……っ!!」
気づけば私も人目なんて気にせずに大声で叫んでいた。