先生と17歳のあいだ
4: きらめく鳴動と隠せない気持ち
*
――ミーンミーン。
蝉たちが活発に鳴きはじめた七月。学校は先週から夏休みになっていた。
じりじりと照りつけている太陽の下を私はキョロキョロとしながら歩く。
スマホの画面には番地とアパート名が書かれていて、それを元にここまで来たけれど、同じようなアパートがありすぎてよく分からない。
たっぷりと塗ってきた日焼け止めなんて効果がないほどの炎天下。
……ああ、どうして私はあんなメールを送ってしまったんだろうか。
さっきから強すぎる日射しのせいで心が折れそうになってる。
と、その時。私の視界を弄(もてあそ)ぶようにして、なにかの光が横切った。
それは私の顔を行ったり来たりしていて、光の先を追うようにして顔を上げる。
「やっと気づいた」
そこにはアパートのベランダに寄りかかりながら、タバコを吸っている郁巳先生がいた。