先生と17歳のあいだ
約一週間ぶりに見た先生の顔。
「階段そこ」と、先生はいつも使っている銀色の携帯灰皿で光を作る。先ほど私の顔の周りをうろちょろしていた正体はこれだろう。
道案内をするように階段に光が当たっていて、私はとりあえず先生がいる場所へと向かった。
アパートはなかなか見つからなかったのに、先生の部屋はすぐに見つかった。
だって401号室のドアの表札に手書きで【郁巳】と書かれてあったから。
なぜ私がこうして先生の家を訪ねることになったのか。
それは単純に私が暇をもて余しすぎたことが原因だ。
学校で出された大量の課題はたったの五日間で終わり、尚且つ夏休みの予定もなにひとつない。
そんな中で考えることといえばやっぱり先生のことばかりで、私はなにを思ったのかつい先生にメールを送ってしまったのだ。
【カメは元気ですか?】
返事はすぐに返ってきて、何通かやり取りしている内に【そんなに気になるなら見にくれば】ということになり今に至るというわけ。