先生と17歳のあいだ




「……先生って片付けられない人だと思ってました」


「なんだよ、それ」


先生はもちろん自分の家なので、タバコは口にくわえたまま動いていた。



……先生の部屋。先生の家。先生がいつも生活してる場所。


今さらだけど、本当に私がここに来てよかったんだろうかと、疑問が生まれてくる。




「……先生って、他の生徒も家に招いたりするんですか?」


確認のために一応、聞いてみた。



「呼ばねーよ。そんなことしたら毎日でも来るじゃん」

「じゃあ、どうして私を……?」

「え、だってお前とは友達だろ」


先生の答えはあっさりとしていた。



……友達、友達ですか。


たしかに私と先生は友達になったけれど、だからって私が先生の生徒ということは変わらない。


誰かに見られたり噂されたり、そういうことを気にしたりしないのかな。


……まあ、相手が私だし、例え目撃されてもあまり大事にはならなそうだけど。




「カメ見る?」


「あ、その前にこれ……」


私は手に持っていた紙袋を差し出した。



「ゼリーです。よかったら食べてください」


手土産なんて買ったことはなかったけれど、駅前に美味しいと評判のゼリー屋があったことに気づいて詰め合わせを選んだ。


味はたくさんあったけれど、買ってきたのは七種類。 


オレンジ、マンゴー、ラフランス、さくらんぼ、ブルーベリー、キウイフルーツ、パイナップル。
 

それらにはシロップ漬けのフルーツが入っていて、まるでカラフルな先生みたい。

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