先生と17歳のあいだ




「そんな気遣わなくてもよかったのに」


「でも先生、金欠でしょ?」


「……う」


だから手土産を買ってきたというわけじゃないけれど、先生が体育祭の打ち上げでクラスメイトたちに大盤振る舞いをしていたことは知っていた。


体育祭の結果は案の定というか、想定どおり二年一組は総合もクラス別も賞をもらうことはできなかった。


当初は優勝したら、という約束だったけど、先生はみんなの頑張りを称えて、結局打ち上げ代をすべて払ってくれた。



場所はチェーン店の焼き肉屋。

食べ放題というわけじゃないのに、食べ盛りのみんなはお肉や飲み物を次から次へと頼み、たぶんお会計はかなりの額になっていたと思う。



クラスメイトたちは満足そうに帰っていったけど、先生はタクシー代もなくなったと歩いて帰ったから、ずっと大丈夫だったかなと気になっていたのだ。

 

 
「高校生の胃袋をまじでナメてたよ」
 

「先生、途中でビールから水に変えてましたもんね」
 

「うん。だってあいつら高い肉しか頼まねーんだもん」



本当は打ち上げなんて行く予定はなかったけれど、城田さんや他の人たちに誘われて私もちゃっかりと先生に奢ってもらった。



お肉は本当に美味しかった。


焼き肉も大勢の人と食べるご飯も久しぶりすぎて、あの騒がしい余韻がまだ消えないくらい。


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