先生と17歳のあいだ
5: 夏の終わりと恋の始まり
*
いつの間にかカレンダーが八月になっていた。
自分から参加すると言った補習授業もあれから一度も行けなくなってしまい、先生とも顔を合わせていない。
……はあ。
私はリビングでひとりため息をはく。
お母さんは今日も仕事で遅くなると言っていた。
本当に仕事かどうかは分からないけれど、お父さんとも久しく会っていない気がする。だから、家にいると時間が長い。
外は暑くてなるべく出掛けたくはないけれど、家族のことも先生のことも考えすぎてしまうので、私はスーパーへ買い物にでも行くことにした。
玄関を開けた瞬間から、肌を焦がすくらいの強い日射しが広がっていた。
私はなるべく日陰になっているところを歩いて、駅前のスーパーを目指す。
……ピロン。
と、その時。スカートの中にあるスマホが鳴った。別に慌てる必要はないのに、私は急いで確認する。
【補習終わったよ。暑いー。六花はなにしてるの?】
それは菜穂からのメールだった。