先生と17歳のあいだ



「ねえ、的井さんはプールとか行く?」


「え、プールですか?」


「うん。俺の友達が監視員のバイトしてて、半券あるからみんなで来てよって誘われてるんだ。都合を合わせて行かない?的井さんも友達連れてきていいからさ」


「……私は……」



プールなんて中学の授業で入ったきり。

水着も持ってないし、人目につく場所で水着になれるほどのスタイルもしてない。なにより、プールに遊びに行くなんていう発想が私の中になかった。



「気分転換に行こうよ。俺も夏休みは図書館と夏期講習ばっかりで遊んでないんだ」



……気分転換という言葉にすごく惹かれた。


私はきっと予定がなくて暇すぎるから余計なことばかりを考えてしまうのだと思う。


少しでも気分が変わるのなら。


少しでも、先生に対しての気持ちが落ち着くのなら。




「……友達に聞いてみます」



そのあと菜穂にメールをするとすぐにオッケーという返事がきた。

 
約束は全員の予定が合う日曜日になり、それまでに菜穂と水着を買いにいく約束までした。


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