先生と17歳のあいだ
「とりあえず水深がないところで遊ぼうよ!」
菜穂はすでに貸し出しているイルカの浮き輪を千崎さんに膨らましてもらっていた。
私はおそるおそるプール場の段差に座って爪先を水に浸ける。
……ちょっと冷たい。
そんな私とは違って菜穂は勢いよくプールの中へと入って、千崎さんとイルカに掴まりながら移動しはじめていた。
「大丈夫?」
なかなか水に入らない私を見て先輩がプールの中から声をかけくれた。
「は、はい。平気です」
「足元気をつけてね」
先輩は私の手をエスコートするように掴んでくれた。
水の深さ腰辺りしかなかった。
菜穂たちはずいぶん遠くに行ってしまっていて、どうやらこの先にある洞窟へと向かっているようだった。
「あそこにいる監視員が俺の友達」
先輩は監視台の上に座っている人に手を振っていて、相手も応えるようにして笑っていた。
「時給は1200円らしいよ。いいよね」
「……先輩はバイトとかしてないんですか?」
「うん。今年は受験だし、今は勉強のほうが大切かな」
そういえば夏期講習にも通ってるって言ってたっけ。