先生と17歳のあいだ
「的井さんって勝手にクールなイメージだったけど話してみるとそうでもないよね」
「そう、ですか?まあ、クールというか冷めてるとはよく言われます。あんまり人と関わらないようにしてきたので周りはそう見えるんだと思います」
今でもシチュエーションによってはすぐに臆病な自分が出てくるし、なにに対しても自信なんてない。
「俺もこう見えて昔はかなりの人見知りだったんだよ」
「え、そうなんですか?」
先輩は風紀の委員長もしてるし、人見知りとは欠け離れているイメージがある。
「うん。でもそういうのって自分がどうなりたいか思うことが大事っていうか、ほら。言霊ってあるじゃん。だから俺はなるべくプラスなことを言うようにはしてるよ。元々運も強いほうじゃないから良いことを引き寄せてくれないかなって意味も含めてね」
そう言って先輩がニコリと笑う。
……すごいな。そんな考え方は私の中にはなかった。だからちょっとだけ私も先輩を見習ってみることにする。
「私、先輩と話してると元気になります」
さっそくプラスなことを言ってみた。
「あといつも背筋が伸びてて羨ましいです」
「それプラスっていうか俺を褒める方向にいってない?」
先輩が困ったように照れていた。そんな姿に心を許すように、私の表情も柔らかくなっていく。