先生と17歳のあいだ
「私、あまり手持ちがないので先生に払ってもらうことになりますよ」
私は空気を変えるようにして、先生からメニューを奪う。
「任せろ。補習授業やりすぎて今月は金使ってないから」
「じゃあ、一番高いいちごパフェをデザートで頼んでもいいんですか?」
「それは、半分こしよう」
「……ふふ、はは」
そんな会話に私は笑いが止まらなかった。
顔の筋肉が痛い。別にお腹を抱えるほど面白いことはなかったっていうのに。
「え、なに?壊れた?」
「はい。そうかもしれません」
私は指先で瞳に溜まった涙を拭う。
私がどんなに先生を避けたって無駄なのだ。
だって、先生との間に分厚い壁を作ろうとしたって、先生はすぐに壊してしまうから。
そういうところに私は救われて、そういうところに私は惹かれている。
「とりあえず私がハンバーグを頼みます。そしたら仕方ないので一口ぐらいならあげますよ」
もういいや。なんだって。
どんな方法を考えたところで、先生への気持ちは誤魔化せない。