先生と17歳のあいだ
注文したものがテーブルに運ばれてきて、私は約束どおり先生に一口サイズのハンバーグを切ってステーキの鉄板の上に添えた。
「こんな時間に食べてまた胃もたれしても知りませんよ」
「大丈夫。もたれても俺ももう夏休みだし」
フォークとナイフの使い方がぎこちない私と違って、先生はとても上手にステーキを切っていて、一番柔らかそうなお肉をハンバーグのお礼にくれた。
「どこか出掛けたりしたんですか?」
「あいにく俺は炎天下の中でプールに行くほど若くねーよ」
ということは、やっぱり家に女の人を招いて遊ぶことのほうが多いんだろうか。
私は押し掛ける勇気なんてない。むしろ、先生に会うには理由がいる。
「冷めるぞ」
ぼんやりと手を止めていた私に先生が言った。私はフォークでハンバーグを口に運びながらぽつりと問いかけた。
「じゃあ、最近の先生の出来事を教えてください」
なんでもいいから知りたいと思った。先生は困る素振りも見せずにすぐに答えてくれた。