先生と17歳のあいだ
飲食店などが立ち並んでる建物の中で、お土産屋さんをすぐに発見して店内に足を踏み入れる。
中にはうちの学校の生徒たちが何人もいて、みんな手にいくつものお土産を抱えていた。
「菜穂はなにを買うの?」
「とりあえずお菓子は買う。家族のぶんと親戚のぶんとお小遣いをくれた近所のおばあちゃんにも」
菜穂はチョコレートやクッキー。北海道限定のスナック菓子を次々とカゴに入れていった。
「六花は家族に買わないの?」
「……私は」
菜穂はうちの家庭事情をまだ知らない。
お土産を買っていったところで誰も食べないし、ましてや何回も訪れたことのある北海道なのでお母さんたちからしてみたら新鮮味もないと思う。
「自分が食べるお菓子は買っていくよ」
せっかくだし、東京じゃなかなか食べられないものも多いから。
ごった返している店内で私はいつの間にか菜穂のことを見失っていた。
たしか可愛い雑貨を見たいと言ってたから、別のブースのほうへと流れていってしまったのかもしれない。
私はとりあえず自分用のお菓子を手に持って人混みを歩く。手荷物のカバンだけは一応前に背負って店内を進んでいると、一際輝いているお土産コーナーが目に入った。