先生と17歳のあいだ
9: 決意の涙とさよならの合図







「すいません。急に呼び出してしまって」


修学旅行が終わって週末。私はとある人物を公園へと呼んでいた。



「ううん。平気だよ」


紺色のコートを着た和谷先輩がベンチへと座る。



「あの、これお土産です」と、差し出したのはチョコレートのお菓子。実は自分のぶんと同じものをもうひとつ買ってきていたのだ。



「えーありがとう。超嬉しい!」


先輩がお菓子を食べるか分からなかったけれど、喜んでくれて安心した。



「北海道寒くなかった?」

「こっちと比べると気温は低かったですけど、4日間ずっと晴れていたので」

「それなら、よかったね」



修学旅行中、先輩とはメールのやり取りをしていた。

『風邪ひかないようにね』『楽しんでね』先輩の文章は北海道の気温とは裏腹にすごく暖かいものだった。


 
「わざわざ呼び出したってことはお土産以外にも俺に用があるんでしょ?」


先輩が私の心を見透かしたように言う。



「はい」


学校では話せないこと。しっかりとゆっくりと、私の気持ちを伝えるために私は先輩に公園へと来てもらった。

 
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