先生と17歳のあいだ
いつの間にかカレンダーは12月になっていた。
二学期も残りわずかになり、そろそろ期末テストの勉強をしないといけないな、なんて頭の片隅で考えながらも、私は昼休みに数学準備室へと来ていた。
「城田は?」
「なんか英語の先生に呼ばれてました」
「あいつマジで本腰入れないと進級できないぞって、怒っとけよ」
「やる気はあるみたいなんですけど……」
菜穂の心配をしつつ、私はカメがいる水槽を覗く。
カメは相変わらずとても元気そうにしていた。
水槽には水草が増えて、まるでアスレチックのような流木まで置かれていてレイアウトが少しだけ変わっていた。
先生が愛情深くカメを育てていることがよく分かる。
「砂糖どのくらい?」
郁巳先生は私にコーヒーを入れてくれようとしていた。
「あ、今日はミルクだけで」
「え、マンデリンだから苦味あるよ」
「平気です」
先生は私の言ったとおり、砂糖抜きのコーヒーを持ってきてくれた。