先生と17歳のあいだ



「そういえば修学旅行の写真見ました?」


先日にカメラマンが撮ってくれた写真が販売された。一枚ずつ廊下に貼られて、欲しい番号の写真をチェックしていくというやり方だった。



「うん。見た。悪意しか感じなかった」


実はたくさんある写真の中で、なんと郁巳先生がスキー場で転んでる写真が撮影されていたのだ。



「みんな面白がって買ってましたよ」

もちろん、私も。



「全部買い占めるのにいくらかかるかカメラマンに聞いたら焼き増しは無限に出来るって言われて諦めたよ」
 

「はは」



中学校の修学旅行で京都に行った時、同じように写真が販売されたけれど、私は一枚も買わなかった。


欲しいと思うものもなかったし、自分が写っていても誰かの後ろに見切れているだけだったから。


でも、今回はたくさん買った。

誰かの後ろではなく、菜穂やクラスメイトたちの隣にいる自分。そして、最終日にちゃっかりと郁巳先生とのツーショットを撮ってもらった写真は一番最初にチェックした。



「先生の写真は宝物にします」


「いや、転んでカッコ悪いヤツは見ないで。ってか捨てて」


「違いますよ。ふたりのツーショットのほうです」



なんでだろう。


修学旅行以来、先生との距離は前より近くなった。


遠ざける理由がなくなったからなのか。それとも先生が私のことを子供扱いしなくなったからなのか。

どっちにしても、先生との間に壁は感じなくなっていた。


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