先生と17歳のあいだ




「先輩も卒業式までは学校に来ないんですか?」


私と同じように春になれば先輩もこの学校にはいない。



「俺は来るよ。自主的に学校で勉強してもいいことになってるし、委員会の引き継ぎもあるしさ」


「そうなんですね」


「あと、的井さんの顔も見たいし」


不意討ちでドキッとすることを言うのは相変わらず。




「引っ越しはいつ?」


「3月24日です」


「え、じゃあ、修了式の次の日?」


「はい。新しい学校では4月9日に始業式なので、色々と間に合わせるために早めに行きます」


当日は必要な手荷物だけを持ってバスで空港まで行く予定だ。



「じゃあ、春からはお互い新しい土地での生活になるんだね」


先輩も大学に進学が決まったらこの街を離れるそうだ。みんなそれぞれの未来へと進んでいく。


それが嬉しいというよりもまだ寂しく思ってしまうけれど、次に会えた時には成長した私を見せたい。


それが今の目標でもある。



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