先生と17歳のあいだ



……ガチャ。


先輩と別れたあと、私はある場所の扉を開けた。

それは興味はあったけれど、なかなか機会がなくて来れていなかった学校の屋上だった。



北風が頬を通りすぎていく中で、私はひんやりと冷たい手すりを握る。


3階建ての校舎の高さはおよそ地上から12メートル。高い場所から見る街の風景はとても綺麗で、私はポケットからスマホを取り出す。


パシャ、パシャと何回か写真を撮ってみたけれど、ぼやけていてうまく撮れない。



「下手くそ」

そんな声が背後から聞こえて、私は振り向く。



「え、せ、先生?」

「スマホ貸して」

「は、はい」


言われるがままスマホを先生に渡すと、私の代わりに街の写真を撮ってくれた。



「どう?」


先生が返してくれたスマホには、私と同じ場所で撮ったとは思えないほど綺麗な街の風景が映っていた。



「ありがとうございます。でもどうしてここに?」

「階段のぼっていくとこが見えたから」


そう言って、先生はいつものようにタバコを口に付ける。 



「学校で吸わないんじゃなかったんですか?」


「俺、学校の屋上ってもはや外だと思ってるから」


先生はニヤリと笑って、タバコに火をつけた。


< 311 / 334 >

この作品をシェア

pagetop