先生と17歳のあいだ
世界は孤独な人に優しくない。
だから協調性を求められる学校で、私の居場所は限られている。
午前授業を潰しての身体測定を終えて昼休み。食堂や購買へと走る生徒たちを横目に、私は人気(ひとけ)のない非常階段に向かった。
重圧な扉を開けると、そこには吹きさらしになっているコンクリートの踊り場。
銀色の手すりが落下防止のために取り付けられているだけで他にはないもない。
私は雑草だらけの裏庭を背にして踊り場に座り、手に持っていたお弁当を広げた。
ここは人の目も気にならないし、生徒たちの騒がしい声も聞こえない。だから昼休みになるといつもこの場所で昼食をとって、予鈴が鳴ってから教室に戻る。
私なりに考えた誰とも関わらなくて済む方法だ。
私は小さいお弁当箱から唐揚げ、ウインナー、卵焼きを順番に口に入れた。
お弁当は毎朝自分で作ってる。早起きは得意だし、ほとんど冷凍食品を詰めているだけだから手間はない。
黙々とおかずを口に運ぶ作業をしていると、すぐにお腹はいっぱいになってくる。
お弁当箱に入ってるおかずとは別に持ってきたおにぎり。中身は梅。安い小粒のやつ。
それもまたぱくりと一口食べて、梅が見えてきたところで私は手を止めた。