先生と17歳のあいだ
なんだかふと、梅おにぎりが自分の姿と重なった。
私は17年間一度も髪を染めたことはない。
顔を出すのが嫌だからショートにはしないけれど長いのも鬱陶しいので、ずっと肩までのセミロング。
生まれつきの直毛でまるで海苔が張り付いているみたいな髪型だし、きちんと第一ボタンまで閉められたブラウスは苦しいけれど決して外さない。
そして色味があるとすればブレザーからわずかに顔を出している赤のネクタイだけ。
黒、白、赤。
私のカラーは梅おにぎりと一緒。
垢抜けることなんてきっとこの先もない。それを宣言するかのように非常階段もまた日が当たらずに一年中じめじめとしている。
私にはお似合いの場所だ。
「なんだよ、お前。こんなところで飯食ってたのか」
突然声がしてドキッと心臓が跳ね上がる。
おそるおそる顔を上げると……そこには何故か郁巳先生が立っていた。
……な、なんで先生が?
バクバクと動揺する中で、先生はお構い無しに私の隣に並んで手すりに寄りかかった。