先生と17歳のあいだ




「えー体育祭とか面倒くさい」

「雨が降って中止になればいいと思います」

「バカ。体育祭こそ高校のメイン行事だろうが」


だらけているクラスメイトたちに先生が一喝した。

やる気満々の先生を見て「夏のボーナスが出たから機嫌がいいんじゃないか」とかみんなが色々と疑っていたけれど、そうではないらしい。



「優勝したら優勝旗がもらえるじゃん。あれ一年間教室に飾るのカッコよくない?」


先生が張り切っている理由はコレだったようだ。



「別にもらってもうちら得しないし」

「だったら食えるもんがいい」と、ごねるクラスメイトたちに先生は不適な笑みを浮かべた。




「分かった。じゃあ、優勝したら打ち上げ代は全部俺が出す!」


すると、みんなの声や表情が一気に変わった。



「まじで!?俺、焼き肉!」

「私はお寿司がいい!」

「食べ放題のイタリアン!」


どっと、うるさくなる生徒たちを見て先生はしてやったりって顔。

いや、もしかしたら今までの会話も全部想定どおりのシナリオだったのかもしれない。


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