先生と17歳のあいだ
クラス対抗リレーと言えば体育祭の最後の見せ場の種目。
なぜそんなに目立つ競技が残ってしまったのかは分からないけれど、どう考えても私じゃ役不足だ。
「おいおい、的井と城田が足遅いってなんで決めつけるんだよ」
私は断りたいのに、先生がフォローする。
「体育の授業を見れば大体分かるじゃん」
「授業と体育祭は別物だよ。すげえ潜在能力が開花するかもしれねーだろうが」
せ、先生……?
待って。全然今は庇ってくれなくていい。
城田さんの意見は分からないけど、少なくとも私は参加したくない。
「いいじゃん、別に。菜穂のことうちらは全力で応援するし。ね?」と、城田さんの友達たちが後押しする。
そんな城田さんは「自信はないけど頑張るよ」と笑って受け入れていたけれど、机の下で強くなっていた握り拳に私は気づいた。
……城田さんって、もしかして……。
意識が別の方向へといっている中で、先生がゴホンッと咳払いをした。
「じゃあ、残りのクラス対抗リレーは城田と的井で決まり!異論があるヤツはいつでも俺のところに来い」
そう締め括ったと同時に、終業のチャイムが教室に鳴り響いた。