先生と17歳のあいだ
「異論があります」
「はやっ」
教室を出ていった先生を私はすぐに追いかけた。
先生の足は職員室ではなく人気のない非常階段で止まった。重圧な扉を閉めたあと、先生はすぐにタバコに火をつける。
「私、リレーなんて無理です。綱引きに代えてください」
「そう言われても定員がね」
切羽詰まる私とは真逆に、先生はタバコの煙を美味しそうに空へとはいた。
クラス対抗リレーの選抜なんて、冗談じゃない。
ただでさえ団結力が求められる体育祭は苦手だっていうのに、どうして一番目立つ競技に出なければいけないのか。
考えただけで、逃げたくなる。
「……私だけじゃなくて、たぶん城田さんもやりたくないと思います」
「的井が人に関心を持つなんて珍しい」
「……だって」
私の唇が途中で止まる。
城田さんのことはよく知らないけれど、さっきの雰囲気からしてなにかを我慢しているように感じた。
いつも一緒にいる友達は私から見れば派手な人たちばかりで、城田さんはその中だと落ち着いているほうだと思う。