先生と17歳のあいだ
「城田は自分に合ってる友達を分かってないんだよな」
非常階段の手すりに寄りかかりながら先生が言う。
教室で見てる限り城田さんはいじめられているわけではないし、邪険にされてるわけでもない。
でも、笑っていても笑っていないように感じたのは私だけじゃなかったようだ。
「お前はひとりでいることで自分を守ってるだろ?でも城田は自分を守るためにみんなといるって感じかな」
タバコの灰が散り散りになって、裏庭の土へと落下していく。
先生は、やっぱりすごい。
私のこともクラスメイトのこともしっかりと見ていてくれている。
「まあ、集団生活の中でぼっちが楽だって思ってんのはお前ぐらいだよ。大抵は怖がる」
心配しているのか、からかっているのか。先生はタバコを唇から離してフッと笑った。
「……友達なんて、しょせんなにか不都合があればすぐに離れていくものですよ」
私は実際にそれを経験した。
友達は作るものじゃなくて、選ぶもの。
だからコミュニケーション能力が乏しいと判断された私は弾かれた。
弾かれるぐらいなら、最初からひとりでいたほうがいいと思うのは当然のこと。